針葉樹きのこ菌床製造システム PDF印刷
木質系廃棄物の発生量平成11年2月、農林水産省などの関係省庁、関係団体で組織する 「生物系廃棄物リサイクル研究会」がまとめた「主な生物系廃棄物の発生量」 によると2億8千万トンでうち木質系廃棄物(林業系547万トン、建設発生木材 632万トン、木竹類247万トン)は1426万トンです。 主な生物系廃棄物の発生量(単位:万t)
■我社の取組み平成10年3月、「環境・リサイクル・雇用機会」をテーマに、年間2億8千万トン 発生する生物系発生材のリサイクル技術を炭化法という観点から取り組みました。 1日で炭・木酢液を製造する乾留式炭化装置「炭焼十字軍」から炭焼十字軍ジャンボ、 炭焼十字軍ロータリーと開発しました。その後、炭・木酢液の用途開発を行う中で、 平成11年3月、堆肥化にとって炭・木酢液が発酵促進として有効であることから 炭化堆肥化融合システム「エコドリームプラン」を開発しました。これらの装置は 廃棄物のリサイクル装置の反面処理装置であり、炭・木酢液、堆肥は原料で付加価値が 低いものです。できれば製品として、商品として、消費者に近い物作りの観点からの 技術開発を検討しました。換金性の高い・小規模又は副業で成り立つ・雇用を生む・ 誰でもができる技術はないのだろうか。 このような背景から、木質系廃棄物に中でも無限にある針葉樹の間伐材・根株・ 製材背板などを有効利用することを検討しました。 コロナ放電技術本年4月1日、東京農業大学で開催された日本木材学会の展示ブースで上原助教授の 説明を受けました。その説明の中で「実験室段階では、コロナ放電で針葉樹きのこ菌床が できるけど、誰も耳を貸さない」、「すごい技術だよね。商品化しませんか」から スタートしました。地理的条件と経済的条件をクリアするために各種施策を調べました。 昨年利用した中小企業総合事業団「技術移転アドバイザー」の継続を申請したところ、 本年度「研究成果実用化アドバイザー」として島根大学総合理工学部上原徹助教授を 招くことができました。当初は郵便とE−MAILで意見交換することからでした。 8月25日〜26日上原助教授が開発した「針葉樹の改質・滅菌同時処理技術」と弊社の商品化・ 事業化技術の提携をする運びとなり、産学協同で実用化したものが「針葉樹きのこ菌床製造」 です。きのこ市場平成10年度のきのこ類の統計(林野庁特用林産物対策室)によると、しいたけ・ひらたけは 価格低迷(中国などからの輸入)により、マツタケは天候不順で落ち込んでいる。 一方、舞い茸18.4%、ナメコ10.9%、ぶなしめじ9.2%は増えている。 アガリクス茸は富士経済研究所の統計によると、4年前に比べ1550%の伸びを示している。 このようなきのこの伸びは健康指向、ダイエット願望、ガンに効くなど複合要因によると 考えられます。平成10年の特用林産物生産動向(増減率は対前年度)
きのこ栽培の現状きのこ栽培による生産量は平成10年で350,821トン、9割が菌床栽培で行われている。 しいたけは平成10年、原木栽培54%、菌床栽培46%(平成5年、原木栽培81%、 菌床栽培19%)となっている。きのこ菌床となる広葉樹おがこは1,975,386立方bの 需要があり、前年度対比で需要量も増えている。菌床きのこの主産地である長野では 10年度おがこ需要量853,500立方b、前年度対比104.5%、新潟では302,800立方b、 113.3%である。しいたけ原木需要量は平成9年度、1億2百41万5千本で前年度から 4.8%減少している。平成5年度は1億4千3百49万2千本で4千百万本の減少である。 原因は中国産しいたけの輸入攻勢の低価格化と高齢化による廃業と思われる。菌床栽培木材に含まれるリグニンを嫌うきのこと好むきのこがあります。菌床栽培ではリグニンを 嫌うきのこを対象としています。菌床栽培の工程は、広葉樹おがこを購入し、加圧滅菌機 (オートクレーブ)で滅菌・冷却処理を6時間、菌床ブロック袋或いは菌床ポットに きのこ菌(しいたけ・エリンギ・舞い茸・アガリクス・ひらたけ・えのき・ぶなしめじなど) を植菌します。これを培養室で4〜6週間培養し、収穫後、梱包し出荷となります。代替資源としての針葉樹広葉樹は天然林で、麓近くは既に伐採され、山奥からの伐り出しで価格上昇傾向にあり、 おがこ需要年間200万立方メートルの需要は新しい材料を求めています。絶対的不足が予想さ れる広葉樹に対して、針葉樹は主な用途である柱など建設用材はフィンガージョイント集成材に取って代わられている現状です。このような状況においてきのこ菌床向け「針葉樹の改質技術」が有れば木材業界及びきのこ業界にとって革命的であります。針葉樹の多くは戦後に植林し、杉・カラマツなどは伐期に来ています。これらの製材過程の端材・間伐材等からきのこ菌床を製造します。広葉樹を使用する理由としてはリグニン量が少ないことからきのこの成長が早いからとされてきました。一方、きのこ栽培農家からは良質で・安価なきのこ菌床の安定的供給を希望しています。きのこ菌床製造これらを原料として行うものが針葉樹きのこ菌床製造システムです。特徴は、 @広葉樹原料を針葉樹に置きかえる、A滅菌処理と改質処理を同時に行う、 Bベルトコンベアによる袋単位の連続式、です。@ 広葉樹原料を針葉樹に置きかえる針葉樹はリグニン量が多く、今までは量産されてきませんでした。 コロナ放電技術でリグニンを分解し、原子に置き換えることにより実現しました。A 改質処理と滅菌同時処理コロナ放電するとリグニンが分解され、改質処理と同時に発生するオゾンがおがこを 滅菌処理します。B ベルトコンベアによる連続式ベルトコンベア上で連続的に、袋単位(10X20X7cm)で毎時100個処理を行います。 以上のようにこの技術から、針葉樹おがこ製造業、針葉樹きのこ菌床製造業、 きのこ製造業が可能であります。 ■価格3,000万円〜(コロナ放電装置・加盟金および各種負担金含む) きのこ製造はその他装置としておがこ製造装置・植菌装置・培養室などが必要です。■研究の経緯この技術を開発した経緯は、「落雷を受けたほだ木はきのこが良く生える」 という言い伝えから人工的に行ったものです。1.針葉樹をきのこ菌床にするメカニズム。(論文)2.コロナ放電、オートクレーブはどの段階で何を目的に行うのか?3.広葉樹菌床と比べた培地としての性能・能力比較、収量差。■ 商品のスキーム
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